時は遡って、11月20日。
昨年までは無かった行事なのですが
旧氏神さんではコロナの関係で奉納機会が減ったため
今年から追加で、旧氏神さんの所でも新嘗祭をやる事になったらしいんですけど。
その第一号の舞妓がなんと私になってしまいました。(驚)
しかも、本殿一発勝負て………(; ̄Д ̄)
私まだ下っ端で舞もほぼド素人なため
「そんな大役を私が務めてもいいんですか!?(汗)」と
再度神楽の方々に確認をしたのですが…………異論を唱える人は一人もおらず。
本殿での奉納ですら一回しかやった事がないのに、第一号とか……何その名誉。
いくら元が女神楽とはいえ、私でいいのか…なんて思ってたんですが。
それが決まった日の帰宅後、車を停めてたまたま空を見上げた所で
それが旧氏神さんの計らいである事にようやく気付いた私。
見事な月暈。
私「……なるほど、ご指名かい……( ̄▽ ̄;)
でも素直に嬉しい!氏神さんありがとう。
ヘマするかもしんないけど頑張るね。」
氏「お前はオレんとっからそう簡単には抜けさせねぇぞ。(笑)
解ったらせいぜい頑張るんだな。( ̄▽ ̄)」
素「氏神よ。」
氏「なに?」
素「今回の神楽、唄と踊りの二段構えで行こうと思うんだが
オマエ唄と踊りのどっちがいい?」
氏「俺どっちでもいいけど。
マスター(←他の素盞嗚さん達はウチの素戔嗚さんの事を皆こう呼ぶ)はどっちがいい?(笑)」
素「俺もどっちでもいいんだが…あきはどうしたい?」
私「え………今回は初の新嘗祭だから
氏神さんが踊りで素戔嗚さんが唄の方がイイんじゃないの?」
※私が媒体(依代)となって氏神さんのご利益の拡張役になるため
氏「じゃあそうするか。マスター、唄頼んだぞ。」
素「俺が唄か……………(汗)まぁいいや。
………あき、オマエ俺の歌声が聞きたいだけじゃねぇのか(; ̄Д ̄)」
私「うは、バレた(゚∇゚ ;)
……だって素戔嗚さんの歌声は格別なんだもん……。
他の人は聞き取れないかもしんないけど、それでも皆には聞いて欲しくて…」
素「そういう事かよ。…しょーがねぇなぁ…
んじゃあきの方は頼むぞ。」
氏「らじゃーー!」
……………という取り決めから、色んな意味でも朝から緊張していたのですが。
早起きして浴衣(←舞の衣装)を着ていたら
武将チームが物珍しそうに、支度する私をまじまじと見ておられたのでありました………。
忠「現代でもやはり着物は着るでござるか。」
私「神楽の時だけだよ。てかコレ浴衣だけどね!」
武「何?浴衣じゃと!??この時期にか??
………何じゃその着方は!!お主、浴衣の下に何を着ておる!!」
私「ヒートテックだよ。今日は寒いから肌着じゃなくてヒートテック着ないと
本殿で体が冷えちゃうの。」
武「そうではない!その下に身に着けておる、それじゃ!!(汗)」
私「……ああ、スパッツの事か。」
忠「すぱっつ??浴衣の下は何も着けぬのが正しい着付けであろう?」
康「すぱっつとは何ぞや?」
井「あき殿、それで浴衣の形が整うでござるか?」
私「…………うっさぁーーーい!!ちょっと黙ってて!!ヽ(#`Д´)ノ
てかあんたら、この間の練習見て………………
……………………………………………………
……………たのは直政さんだけだっけ(汗)
動きが結構ハードだからまともな着付けは出来ないんだよ!
肌襦袢(はだじゅばん)なんか着たら
片ヒザ付いた時にバックリお股が見えちゃうでしょが!!
そもそもこのスパッツは筋肉と関節への負担を軽くしてくれるんだよ!
基本が中腰だからヒザへの負担が半端ないんだって!
つーか神楽の人達からも、あたしは特に女でシャレにならないから
スパッツは履けって言われてんだよ!!
んもぅ、知らないからしょーがないんだけど
見てりゃ解るからちょっと黙っといて!(TдT)」
井「…あ、あき殿。おはしよりは脇から両手を入れて整えるのでござるよ。」
私「知ってるよ!………うは、そっか………あんたら直垂(ひたたれ)とかも着てたから
ある意味和服のプロなのか(; ̄Д ̄)
ごめん!神楽仕様だからとりあえず放っといて(泣)」
一同「面目ない(汗)」
康「………あき殿、帯はもう少し締めないと着崩れするでござるよ。」←
私「だーかーら!動きが結構ハードだって言ったでしょ!!
締め過ぎちゃうとタダでさえ口全開には出来ないのに、更に息がし辛くなるんだよ…
てか神楽仕様だから放っといてって今言ったべや!!(# ゚Д゚)」
康「そうであった(汗)面目ない。」
そもそも私の着付けは超適当なため、
形がそれらしく出来れば何でもイイのですが………
とりあえず着付けを終え神楽札と法被を羽織った所で、また武将チームからのコメントが。
武「……ほぉーーー……主も着物じゃとまた変わるのぉ。」
忠「お主は和の顔立ち故、着物が似合うでござるな。」
康「へぇーーー!!着物だと主もおしとやかに見えるのう。」←酷い;;
井「あき殿、まこと似合うてござる。
普段の主からは想像出来ぬでござるな。」←酷い;;
私「くっそぉぉ…………みんなして、褒められてんのか貶されてんのか
よく解らんような物言いしやがってぇ〜〜……(TдT)」
素「あき!タオルと篠笛忘れんなよ。あと着替えもな。忘れたらえらい目に遭うぞ(汗)」
私「やっべ!着替え忘れてた!!素戔嗚さんサンキュー!!んじゃ行くね。」
忠「『たおる』………??
…………………あき殿!それは雪駄(せった)でござるぞ!??Σ(゚д゚;)」
私「イイんだよ!草履(ぞうり)じゃ動きにくいし
奉納する時はどうせ脱ぐんだから!!
………もぉーー、素戔嗚さん運転中に解説頼む!(T□T)」
素「…お前らにゃ色々と気になるかもしれんが
足袋は滑り止めの靴下を履いてからじゃねぇと中でも滑って足元がフラつくし、
でもそれやっちゃうと草履がキツキツになるもんだから履くに履けねぇんだわ。
………雪駄でもあんま変わんねーけどな。
ヒートテックは寒さ対策と浴衣のズレ防止、
スパッツは履かねぇとマジで股が見えちまうんだよ。
あと髪は獅子頭被るから綺麗に結うだけ無駄だ。」
一同「獅子頭!??(ll゚д゚)」
素「まぁ見てろ。神楽鈴は使うものの、浦安の舞とかとは全然違うから
お前らが想像してるような格好でも踊りでもねぇぞ。」
一同「相解った。」
今日は1番と4番を子供達がやってくれるからあたしは楽なんだけど………
この間の練習では色々と盛大にやらかしたからなぁ…大丈夫か??
井「あき殿。練習で紐を全て落としておったが大丈夫でござるか?」←
素「紐………(汗)あれは五色絹(ごしきぎぬ)って言うんだよ。
この間の練習で使ってたヤツはそもそも括ってない方の鈴だったから
ある意味全部落ちたのはしょーがねぇんだわ(; ̄Д ̄)」
私「ごめん、鈴を振るごとに落ちてくもんだからアレにはあたしもちょっと笑った^^;
でもそんなんは問題じゃないんだよ。
今のあたしの問題は…………まぁいっか。」
ゴザよか多分全然マシなんだろうけど、
板間で足袋が滑るから足元が安定しないんだよなぁ。
いつもの体重の乗せ方も通用しないし…
※少林寺の名残りで常時つま先に体重をかける癖がついてます。
そして色々と不安が募る中、遂に奉納を開始。
氏「あき、ちょっと見ない間にすっかり大所帯になっちまったなぁ。(笑)
今日は宜しく頼むぞ!」
私「氏神さんウカ様おはよう。まぁとりあえず頑張るわ。
…………ウカ様、今日は気合い入れて来たから見ててよ?」
倉稲魂(うかのみたまのみこと:以下、ウ)「あっきーさん、武将さん方、いらっしゃーーい^^
………今日は盛大にやっちゃってね?(笑)」
私「…………………………( ̄▽ ̄;)
ねぇウカ様。何の期待をしてるの…??」
※盛大にやらかす事です。
前会長(以下・前)「あ、保護者の方々。良かったらせっかくなんで
こちら(祭壇前)まで入ってもらって大丈夫ですよ^^」
子供達の保護者「え、いいんですか?ありがとうございまーす!(*^_^*)」
私「うは、マジか!Σ(・□・;)」←小声
1番と4番は子供達が奉納するため親は正面から観たいだろう、という配慮から
前会長さんが特別に中へと案内されてたのですが……
ちょっと待って!2番と3番はあたし一人だけなんですけど!
てかソレあたしも正面からガン見されるって事じゃん!!(汗)
いつもとは違う意味での緊張をしつつ、子供達の裾持ちをしていたのですが
私がやる時も捌けずにそのまま居るのかな?なんて思ってたら
当然の如く4番のために、保護者の方々は祭壇前の両脇に
そのまま黙って座っておられたのでありました。(-_-;)
私「うは、両脇に人居るとか緊張する(汗)」
前「あきちゃんなら大丈夫だら〜(笑)
大いに観てもらって^^」
私「うひ(苦笑)頑張ります。」
素・氏「…おーーし、やるぞ!」
私「………………………………………
……………………………………………
…………………………………………」
武「………なんと!そういう事でござるか!!(゚Д゚;)」←気を遣って小声
ゆっくり目を閉じ、変性意識ちょい前くらいまで入る。
…氏神さん来た!うはぁ、いよいよか。………なんて思った直後………
唄い手さん(以下・唄)「……みぃ〜〜〜(ブツッという感じ)…………………………
………………………………………………………
……………………………………………………
……………なぁ〜………………ぇえ〜〜〜〜、」
素「…さんじゃーーーーーくぅ〜〜ぅぅう、ねぇ〜〜〜〜〜……………」←必死
氏「マスター苦戦してんな(笑)」
私「……ちょ……素戔嗚さん(笑)」
あーー、なんか落ち着く。やっぱ素戔嗚さんの歌声はイイなぁ……緊張ほぐれてきた。
よーーーし!…………ん?あれ??
氏「あき、力を入れるのは指だけでいい。」
私「……………それだと幣(ぬさ)が抜けちゃわん??……………
あ、大丈夫だわ。…へぇーー!!」
氏「うん、いいぞ。そのままいつも通り『止め・跳ね・払い』を意識しろ。」
私「解った。」
井「………しかし、練習の時とは若干違うでござる。」←小声
道「獅子頭が邪魔で練習通りにやると神楽鈴が当たってしまうからあれでイイんです。」←小声
武「成程、それでタオルとやらが必要であったか。
………されど、おなごの口でアレを支えるには苦労するのでは………」←小声
忠「前もあまりよく見えなさそうでござるが…」←小声
道「噛むのは最初の内だけです。集中すると良い塩梅で支える事が出来ますから、
アゴの力はそんなに要らなくなるんですよ。
あと、前を見るにはあれくらいが丁度良いんです。
獅子頭の口の隙間から若干周りを見る感じの方が、獅子の頭が正面を向きますからね。」←小声
一同「成程。」←小声
唄「…あくまぁぁ〜〜(ブツッという感じ)、」
素「……ぁあ〜〜〜あぁぁ〜、払うよぉ〜〜〜、
あらめでたいーぃい、ねぇ〜〜〜〜。」←必死
ぶはは!素戔嗚さんありがと!(笑)
おかげですっかり緊張解けたわ。…よし!!
体がいつもよか軽い………氏神さんが動きを微妙に誘導してくれるから
止め・跳ね・払いもスムーズに出来るし。
氏「鈴はこの時だけは鞭の要領だ。…うんそう。
肩→肘→手首と力を流してって、指先で止める。」
私「………腕が動くとみっともなくない?」
氏「浴衣の裾で隠れて言うほど動かねぇから安心しろ。肩はちょっと動かすだけでいい。」
私「あ、成程。…………………………」
鬼門の『跳ね』がもうすぐ来る…滑って転倒、は流石に無いと思うけど
見せ場っちゃ見せ場だからフラつくのだけは避けないと………などと思っていたら
私の中では予想外の出来事が(汗)